脊柱管狭窄症で歩けない?症状、原因、治療法を徹底解説
- よし 整骨院
- 6月5日
- 読了時間: 12分
更新日:10 時間前

脊柱管狭窄症で歩行困難になる原因や症状、治療法について解説します。脊柱管狭窄症でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
この記事の監修者情報

資格:柔道整復師 (整骨院を開業できる国家資格)
柔道整復師専科教員(大学、専門学校の柔道整復師科で講義することができる資格)
NSCA CSCS(全米ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)
経歴
2010~2015年 医療法人堺整形外科医院 福岡スポーツクリニック
2015~2017年 医療法人TSC タケダスポーツクリニック
2018~現在 よし姿勢&スポーツ整骨院・整体院
2014~2017年 福岡医療専門学校 非常勤講師
2015~2023年 九州医療専門学校 非常勤講師
2024~現在 福岡医健・スポーツ専門学校 非常勤講師
目次
・脊柱管狭窄症の定義と種類
・歩行困難になるメカニズム
・脊柱管狭窄症のリスクファクター
・代表的な症状:間欠跛行とは
・その他の症状:痛み、しびれ、脱力
・症状が悪化するとどうなる?
・問診と神経学的検査
・画像検査:MRI、CTスキャン
・保存療法:薬物療法、リハビリ
・手術療法:適応と種類
・手術を検討する際の判断基準
・早期発見と適切な治療
・専門医との連携
・生活習慣の改善
脊柱管狭窄症とは?
歩けなくなる原因
脊柱管狭窄症の定義と種類
脊柱管狭窄症は、背骨の中にある脊柱管という空間が狭くなり、その中を通る神経が圧迫される病気です。この圧迫が、足腰の痛みやしびれ、歩行困難といった症状を引き起こします。
脊柱管は、脳からの指令を全身に伝える重要な神経の通り道であり、その保護の役割も担っています。そのため、脊柱管が狭窄すると、神経機能に様々な影響が出てくるのです。
脊柱管狭窄症は、発生する部位によっていくつかの種類に分類されます。最も一般的なのは、腰部脊柱管狭窄症で、腰椎の脊柱管が狭くなることで症状が現れます。
頸椎脊柱管狭窄症は、頸椎の脊柱管が狭くなり、手足のしびれや麻痺、排尿・排便障害などを引き起こすことがあります。
歩行困難になるメカニズム
脊柱管が狭窄すると、脊髄神経や神経根が圧迫され、血流が悪くなります。神経は、酸素や栄養を必要とするため、血流が悪化すると機能が低下し、痛みやしびれといった症状が現れます。
特に、歩行時には、より多くの酸素や栄養が必要となるため、神経への負担が増大し、症状が悪化しやすくなります。これが、脊柱管狭窄症による歩行困難の主なメカニズムです。
間欠跛行は、脊柱管狭窄症に特徴的な症状の一つです。これは、歩行中に足腰の痛みやしびれが強くなり、歩けなくなるものの、少し休むと症状が軽減し、再び歩けるようになる状態を指します。
間欠跛行は、神経への圧迫が一時的に緩和されることで症状が軽減すると考えられています。しかし、歩行を再開すると、再び神経への負担が増大し、症状が再発するため、歩行距離が徐々に短くなってしまうことがあります。
脊柱管狭窄症のリスクファクター
脊柱管狭窄症の発症には、いくつかのリスクファクターが関与しています。最も大きなリスクファクターは加齢です。年齢を重ねるにつれて、椎間板の変性や靭帯の肥厚、骨棘の形成などが起こりやすくなり、脊柱管が狭窄する可能性が高まります。
姿勢の悪さも、脊柱管狭窄症のリスクを高めます。長時間のデスクワークや猫背などの不良姿勢は、腰椎に負担をかけ、椎間板や靭帯の変性を促進することがあります。
肥満も、腰椎への負担を増加させ、脊柱管狭窄症のリスクを高める要因となります。
喫煙は、血管を収縮させ、血流を悪化させるため、神経への酸素や栄養の供給を妨げ、脊柱管狭窄症の発症や進行を促進する可能性があります。
過去の腰椎手術や外傷も、脊柱管狭窄症の原因となることがあります。手術による組織の癒着や、外傷による骨折などが、脊柱管を狭窄させることがあります。
脊柱管狭窄症の症状
:早期発見の重要性
代表的な症状:間欠跛行とは
間欠跛行は、脊柱管狭窄症の患者さんによく見られる症状であり、その特徴は、ある一定の距離を歩くと足や腰に痛みやしびれが生じ、歩行が困難になることです。しかし、少し休憩を挟むことで症状が軽減し、再び歩けるようになるという点が特徴的です。これは、神経への圧迫が一時的に緩和されるためと考えられています。この症状は、歩行と休息を繰り返すうちに、徐々に歩ける距離が短くなっていくことがあります。
初期の間欠跛行では、比較的長い距離を歩けていたとしても、病状が進行するにつれて、数十メートル歩いただけで症状が現れるようになることもあります。そのため、
間欠跛行は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。例えば、買い物や散歩などの外出が困難になったり、仕事や家事などの活動が制限されたりすることがあります。間欠跛行は、脊柱管狭窄症の早期発見の重要なサインです。間欠跛行に気づいたら、早めに医療機関を受診し、適切な検査と診断を受けることが大切です。
その他の症状:痛み、しびれ、脱力
脊柱管狭窄症は、間欠跛行以外にも様々な症状を引き起こす可能性があります。足腰の痛みやしびれは、脊柱管狭窄症の代表的な症状であり、神経の圧迫によって生じます。これらの症状は、安静時にも現れることがありますが、多くの場合、立ったり歩いたりすることで悪化します。
足の脱力感や冷感も、脊柱管狭窄症によって引き起こされることがあります。神経の圧迫が、筋肉への指令伝達を妨げたり、血流を悪化させたりすることで、これらの症状が現れると考えられています。
排尿・排便障害は、脊柱管狭窄症が重症化した場合に現れることがあります。これは、膀胱や直腸の機能を制御する神経が圧迫されることで起こります。排尿・排便障害は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、深刻な合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
これらの症状は、神経の圧迫部位や程度によって異なります。例えば、腰椎の脊柱管狭窄症では、足腰の痛みやしびれが主な症状となりますが、頸椎の脊柱管狭窄症では、手足のしびれや麻痺、排尿・排便障害などが現れることがあります。
症状が悪化するとどうなる?
脊柱管狭窄症の症状が悪化すると、日常生活に様々な支障をきたすようになります。間欠跛行が進行すると、歩ける距離が著しく短くなり、外出が困難になることがあります。痛みやしびれが強くなると、睡眠を妨げられたり、仕事や家事に集中できなくなったりすることがあります。
足の脱力感が強くなると、転倒しやすくなり、骨折などのリスクが高まります。排尿・排便障害が現れると、日常生活に大きな不便をきたすだけでなく、社会生活を送ることが困難になることもあります。
QOL(生活の質)は著しく低下する可能性があります。痛みやしびれ、歩行困難などの症状は、精神的なストレスとなり、うつ病などの精神疾患を引き起こすこともあります。脊柱管狭窄症の症状が悪化すると、日常生活を送ることが困難になり、QOLが著しく低下する可能性があります。
早期に適切な治療を受けることが、症状の悪化を防ぎ、QOLを維持するために重要です。症状に気づいたら、早めに医療機関を受診し、専門医の診察を受けるようにしましょう。
脊柱管狭窄症の検査と診断
問診と神経学的検査
脊柱管狭窄症の診断は、まず医師による丁寧な問診から始まります。問診では、患者さんの症状、発症時期、症状の程度、既往歴、生活習慣などについて詳しく尋ねられます。これにより、脊柱管狭窄症の可能性を判断し、必要な検査を検討します。
神経学的検査は、神経の機能に異常がないかを調べるために行われます。反射、感覚、筋力などを評価し、神経の圧迫部位や程度を特定します。例えば、足の感覚が鈍くなっていたり、筋力が低下していたりする場合は、神経が圧迫されている可能性が高いと考えられます。
神経学的検査の結果は、画像検査の必要性を判断する上で重要な情報となります。問診と神経学的検査の結果を総合的に判断し、脊柱管狭窄症の疑いがある場合は、画像検査を行います。画像検査では、脊柱管の狭窄や神経の圧迫状態を直接確認することができます。
画像検査:MRI、CTスキャン
脊柱管狭窄症の診断には、MRI検査とCTスキャンがよく用いられます。
MRI検査は、脊柱管の狭窄や神経の圧迫状態を詳細に確認できる非常に有用な検査です。
MRIは、放射線を使用せずに、磁気と電波を用いて体の内部を画像化するため、被ばくの心配がありません。脊髄や神経根などの軟部組織の描出に優れており、脊柱管狭窄症の診断に不可欠な情報を提供してくれます。
CTスキャンは、骨の状態を評価するのに役立ちます。骨棘の形成や椎間板の変性など、骨の異常が脊柱管狭窄症の原因となっているかどうかを判断することができます。
CTスキャンは、X線を用いて体の断面を画像化するため、MRI検査よりも短時間で撮影できます。しかし、放射線を使用するため、被ばくのリスクがあります。MRI検査とCTスキャンは、それぞれ異なる情報を提供してくれるため、必要に応じて両方の検査を行うことがあります。
脊柱管狭窄症の治療法
:保存療法と手術療法
保存療法:薬物療法、リハビリ
脊柱管狭窄症の治療は、症状の程度や患者さんの状態に合わせて、保存療法と手術療法のいずれか、または両方を組み合わせて行われます。保存療法は、手術を行わずに症状の緩和や機能改善を目指す治療法です。薬物療法では、痛み止め(鎮痛剤)や神経の炎症を抑える薬、血流を改善する薬などが用いられます。
これらの薬は、症状を一時的に緩和する効果がありますが、根本的な治療ではありません。リハビリテーションでは、理学療法士による運動療法や物理療法が行われます。運動療法では、筋力トレーニングやストレッチなどを行い、腰や足の筋肉を強化し、柔軟性を高めます。
物理療法では、温熱療法や電気刺激療法などを行い、痛みを和らげ、血流を改善します。保存療法は、症状が軽い場合や、手術を希望しない場合に選択されます。しかし、保存療法で症状が改善しない場合や、症状が進行する場合は、手術療法を検討する必要があります。
手術療法:適応と種類
保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が著しく日常生活に支障をきたす場合には、手術療法が検討されます。手術療法の目的は、狭窄した脊柱管を広げ、神経への圧迫を取り除くことで、痛みやしびれを軽減し、歩行能力を改善することです。
手術方法には、いくつかの種類があります。椎弓切除術は、脊柱管の後ろ側にある椎弓の一部を切除することで、脊柱管を広げる手術です。比較的侵襲が少なく、短時間で手術を行うことができます。椎弓形成術は、椎弓を切除せずに、脊柱管を広げる手術です。椎弓を部分的に切開し、開いた状態を固定することで、脊柱管を広げます。
脊椎固定術は、不安定な脊椎を金属製のインプラントで固定する手術です。脊椎のずれや変形が原因で脊柱管が狭窄している場合に選択されます。どの手術方法を選択するかは、患者さんの症状、年齢、全身状態、画像検査の結果などを総合的に考慮して決定されます。
手術を検討する際の判断基準
手術を検討する際には、いくつかの重要な判断基準があります。症状の程度は、手術を検討する上で最も重要な要素の一つです。痛みが強く、日常生活に大きな支障をきたしている場合は、手術を検討する価値があります。
年齢も、手術の適応を判断する上で考慮すべき要素です。一般的に、高齢者は手術のリスクが高くなるため、慎重に検討する必要があります。しかし、年齢だけで手術を諦める必要はありません。
全身状態は、手術の安全性を評価する上で重要な要素です。心臓や肺に疾患がある場合は、手術のリスクが高くなる可能性があります。合併症の有無も、手術の適応を判断する上で考慮すべき要素です。糖尿病や高血圧などの合併症がある場合は、手術のリスクが高くなる可能性があります。
医師との十分な相談は、最適な治療法を選択するために不可欠です。医師は、患者さんの状態を総合的に評価し、手術のメリットとデメリットを丁寧に説明してくれます。
まとめ:脊柱管狭窄症と向き合い
快適な生活を送るために
早期発見と適切な治療
脊柱管狭窄症と診断されたとしても、悲観する必要はありません。早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状の進行を抑え、快適な生活を送ることができます。重要なのは、早期に症状に気づき、専門医を受診することです。専門医は、適切な検査を行い、正確な診断を下し、最適な治療法を提案してくれます。
治療法は、保存療法と手術療法があり、症状の程度や患者さんの状態に合わせて選択されます。保存療法では、薬物療法やリハビリテーションなどが行われます。手術療法では、狭窄した脊柱管を広げ、神経への圧迫を取り除く手術が行われます。
早期発見と適切な治療により、痛みやしびれを軽減し、歩行能力を改善し、QOLを向上させることができます。脊柱管狭窄症と向き合い、積極的に治療に取り組むことで、快適な生活を取り戻しましょう。
専門医との連携
脊柱管狭窄症の治療は、専門医との連携が不可欠です。専門医は、脊椎の構造や機能、脊柱管狭窄症の病態について深く理解しており、適切な診断と治療を行うことができます。症状に悩んでいる場合は、自己判断せずに、必ず専門医に相談しましょう。
専門医は、患者さんの症状や状態を詳しく評価し、最適な治療計画を立ててくれます。治療の過程では、症状の変化や治療の効果を定期的に評価し、必要に応じて治療計画を修正します。専門医との良好なコミュニケーションは、治療の成功に不可欠です。わからないことや不安なことがあれば、遠慮なく医師に質問しましょう。
医師は、患者さんの疑問に丁寧に答え、安心して治療を受けられるようにサポートしてくれます。専門医との連携を密にすることで、より効果的な治療を受けることができます。
生活習慣の改善
生活習慣の改善は、脊柱管狭窄症の予防や症状の緩和に繋がる重要な要素です。姿勢の改善は、腰椎への負担を軽減し、脊柱管の狭窄を防ぐために重要です。正しい姿勢を意識し、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用を避けるようにしましょう。
適度な運動は、腰や足の筋肉を強化し、血流を改善し、痛みを和らげる効果があります。ウォーキングや水泳などの有酸素運動や、筋力トレーニングなどを行うようにしましょう。体重管理は、腰椎への負担を軽減し、脊柱管の狭窄を防ぐために重要です。適切な食事と運動により、適切な体重を維持するようにしましょう。
喫煙は、血管を収縮させ、血流を悪化させるため、脊柱管狭窄症の発症や進行を促進する可能性があります。禁煙をすることで、神経への血流が改善し、症状の緩和に繋がります。生活習慣を見直すことで、脊柱管狭窄症の予防や症状の緩和に繋げることができます。