​腰椎分離症 腰椎疲労骨折

​腰椎分離症のことで悩んでいる方がたくさんいます。当院にも多くのご相談があり、質問の多いことをまとめています。
​腰椎分離症とは?

成長期腰椎分離症は腰椎の椎間関節突起間部という場所の疲労骨折と言われています。

2000年以前は腰椎分離症は先天的なもの(生まれつきのもの)で治らないということが一般的でしたが、​近年は分離症は疲労骨折であると患者さんにも認知され始めています。

体の柔軟性の欠如(身体的特徴)スポーツの競技特性(身体を反ったり、捻る動作の多い競技)の要因が基盤にあり,疲労骨折をおこします.

​発生しやすい年代と好発部位は?
14歳前後の男性に多く,罹患部位はL5(第5腰椎)次いでL4(第4腰椎)に発生が多くなります。
​現在、成長期腰椎分離症(疲労骨折が原因)と腰痛(筋肉や関節の炎症が原因)を画像検査なしに見分けることは難しいと言われています。
成長期腰椎分離症の症状の中に腰を反ると痛い、斜め後ろに反ると痛い、腰の骨を押すと痛いという条件がそろうと疲労骨折の可能性が高くなるといわれていますが、​実際には普通の腰痛にも同じような症状が出現します。
しかし疲労骨折の場合は、マッサージや鍼灸などの施術をしても
​その時はいいけど、競技をPLAYするとまた痛くなる、何回か治療しても変化がないなど、治療効果が上がらないことを多く経験します。その場合は早めに検査をすることをお勧めします。
​どんな症状なの?普通の腰痛との見分け方は?
​診断の方法は?検査は何が必要なの?
A:診断にはMRI検査が確実に必要、治療方針にはXP,CT検査も必要である.
​理由は次へ
​レントゲンだけではだめなの?
​A:レントゲンのみでの診断は不十分。レントゲン検査で分離症と診断されたときには隠れた疲労骨折があるかもしれないので注意が必要。
レントゲン検査で分離症があると診断する時には、腰椎を斜めから撮影した
レントゲンが必要になります。通常腰のレントゲンを斜めから、椎弓といわれるところから椎間関節突起患部(疲労骨折が起きるところ)をみると犬の形をしたように見えます。しかし疲労骨折が起こり、分離症へと進行すると椎間関節突起患部の連続性が途絶え、犬の首輪のように写ります(真ん中の画像)。これを犬のスコッチテリアが首輪をつけているように見えるため、スコッチテリア首輪サインと言われています。
このスコッチテリア首輪サインがあるときには、完成された疲労骨折(分離症)の可能性が高く、骨癒合の可能性が低くなります。
また今の痛みはスコッチテリアサインが起きている部位ではなく、その上の骨が疲労骨折を起こしている可能性もあり、レントゲン検査だけでは判断ができません。
整形外科勤務時代にレントゲン検査で、スコッチテリアサインがありそうだが、実際CT検査をすると、分離症ではなかったなどのことは多く経験しており、スコッチテリアサインだけで判断するのは確実ではないのです。
​MRIで何がわかるの?
​A:MRIでは疲労骨折の有無と骨癒合する可能性があるかをみています。
​MRIでは骨の中が炎症を起こしているのかをみて、疲労骨折が有無と
​骨癒合する可能性をみています。(椎弓根と言われるところが骨髄浮腫を起こしますが、実際には椎間関節突起患部が疲労骨折を起こす)
​CT検査で何がわかるの?
​A:MRIでは疲労骨折があるのかを判断しますが、CTでは疲労骨折の進行程度をみることができます。初期では髪の毛ぐらいの細さの亀裂(Hair Line)で、突起患部も亀裂が貫通していませんが(Ia型)、進行期では亀裂が明瞭になっています。突起患部も亀裂が貫通しています(Ib型)。
​骨が癒合するまでにどれぐらいかかるの?
CTで初期と判断された場合は3か月で90%の人が骨癒合した。
進行期では6か月治療して30~60%の人が骨癒合した。
と報告されています。
​これをみると腰の疲労骨折は早く見つけて早く治療を開始するべきだとわかります。
​安静にしなければならない?競技をしながら治すことはできないのか?
​この質問をよく受けますが、残念ながらやりながら骨癒合を目指すことは難しいです。
競技を続けていると疲労骨折は進行していきます。
​初期の方が競技を続けていると3か月には進行期、偽関節へ移行していきます。初期の場合は見つけた時点で治療を開始した方が治る可能性は高くなります。
​腰椎分離症の治療の目的
そもそもなんで治療をしなければならないのか?
腰椎分離症を治療する目的として

○ 腰椎分離すべり症への移行を予防

○ 罹患部位より対側,上位腰椎への疲労骨折の予防

があげられます。

​分離すべり症とは分離症が起きた高さで椎体が前方にずれてきてしまい、脊柱管という神経の通り道を狭くしてしまいます。(画像の白いライン)

将来神経の症状(脚のしびれ、力が入らない)などが起きないように予防をしなければならないのです。

​安静にしたらいつ復帰ができるのか?どれぐらいの安静が必要なのか? 治療は何が必要か?
​A:安静期間は1ヶ月半から6か月と病院によって方針が違う。治療はコルセットを装着しようといわれる。
​安静のレベルは全く運動はできない。体育も不可能。
​3か月、6か月も休めない。休みたくない。
​A:​今のスポーツ医学では完全に3か月から6か月休ませる方針と、1ヶ月毎にMRI検査をして骨内の炎症(骨髄浮腫、白い反応)が落ち着いたらコルセットを装着して少しずつ動きましょうという方針に分かれています。
病院によって1か月半の安静で少しづつ動きだせる病院もあり、その方針で治っている子もたくさん私自身みてきております。スポーツ​をしたい時期に3か月休みのは酷な話です。その気持ちはよくわかります。
​部活の環境で休めない。休みたくない。でも分離すべり症が気になる。
​A:成長期の​分離すべり症の原因は成長期には腰椎の椎体(腰の骨)には成長軟骨板があります。分離症を起こすとその成長軟骨板にストレス集中し、成長軟骨板が壊れることにより、椎体が前に滑ってきます。分離すべり症へとなるわけです。​
​A:成長軟骨板は成長するに従い、骨と癒合をします。成長軟骨板が骨と癒合してしまえば、近々に滑る原因はなくなります。
レントゲン検査の腰椎を横から見た時に、Epiphyseal stageの場合は成長軟骨板は骨と癒合しているため、滑る可能性はほぼなくなります。
この時期であれば、「他の腰部分での疲労骨折の発生のリスクはありますが、近々の腰椎分離すべり症へは移行しないから痛みのコントロールをしていこうね」
という選択肢も出てきます。
ただ基本的には痛いため、短時間でも休むことをお勧めします。
​治療は安静とコルセットのほかに何かできることは​ないの?
​A:まず腰椎疲労骨折は下肢、臀部、胸郭の硬さから、動作時に腰にストレスがかかり、疲労骨折なります。
その部分が改善されなければ、また再発したり、他の部位を疲労骨折したりする可能性があります。その部分を改善させなければなりません。
下肢の硬さをとるためにストレッチや手技、ラジオ波などで柔軟性を
出していきます。
胸郭は炎症が落ち着いてからし始めます。
また同時進行に骨折や疲労骨折の治癒期間を約38%短縮効果があったと報告されている、低出力超音波パルス療法(リーパス)
​を照射していきます。

日本柔道整復接骨医学会

2011 「早期発見できた成長期腰椎分離症

       3か月時点での骨癒合調査」​

2012 「成長期腰椎分離症 

          進行期の癒合率調査」

​過去に学会で分離症について発表をしました。
​当院が治療方針などを決めることはできませんが、相談にのって今後のことを一緒に考えることはできます。分離症のことならお任せください!!
​参考文献

大場 俊二:腰椎疲労骨折(成長期腰椎分離症)治療期間の短縮.日整スポーツ会誌VOL.31 56-62 2011

吉田 徹ほか:成長期脊椎分離症.整・災害43;1249-1259 2000

西良 浩一:腰椎分離症の研究.Sports medicine NO.114  5-15 2009

吉田 徹ほか:腰椎分離症の病期と治療方針.MB Orthop.20(9):29-38.2007

吉田 徹ほか:脊椎分離症に対する対処法の基本原則.整・災害48;625-635,2005

西良浩一ほか:発育期腰椎分離症・すべり症の発生メカニズムMBOrthop.20(9):7-15.2007

大場 俊二ほか:腰椎疲労骨折における画像診断的検討-CTとMRI所見の関連と変化-.日整スポーツ会誌VOL24 NO.2 90-95