足底腱膜炎の治療法:痛みの原因から最新治療、自宅でできるケアまで徹底解説
- よし 整骨院
- 4月6日
- 読了時間: 9分
足底腱膜炎は、足の裏の痛みで悩む多くの人が経験する疾患です。この記事では、足底腱膜炎の原因、症状、そして最新の治療法から、自宅でできる効果的なストレッチやケア方法までを詳しく解説します。つらい足の痛みを和らげ、快適な生活を取り戻しましょう。
スポーツ整形外科で8年間勤務した医療系国家資格を持った医療従事者が解説します。
この記事の監修者情報

資格:柔道整復師 (整骨院を開業できる国家資格)
柔道整復師専科教員(大学、専門学校の柔道整復師科で講義することができる資格)
NSCA CSCS(全米ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)
経歴
2010~2015年 医療法人堺整形外科医院 福岡スポーツクリニック
2015~2017年 医療法人TSC タケダスポーツクリニック
2018~現在 よし姿勢&スポーツ整骨院・整体院
2014~2017年 福岡医療専門学校 非常勤講師
2015~2023年 九州医療専門学校 非常勤講師
2024~現在 福岡医健・スポーツ専門学校 非常勤講師
足底腱膜炎とは?原因と症状を理解する
足底腱膜炎の基本的なメカニズム
足底腱膜炎は、足の裏に位置する足底腱膜という強靭な線維性の組織が炎症を起こす病態です。この足底腱膜は、踵骨(かかとの骨)から足の指の付け根にかけて扇状に広がり、足のアーチを支え、歩行や走行時の衝撃を吸収する重要な役割を担っています。歩行時には、足底腱膜は体重の数倍もの負荷を受け、まるで弓のように伸び縮みします。この繰り返し負荷や、急激な負荷によって、足底腱膜に微細な損傷が生じ、炎症が引き起こされると考えられています。
炎症が慢性化すると、足底腱膜は硬くなり、柔軟性を失い、痛みが持続するようになります。足底腱膜炎は、ランニングなどのスポーツ愛好家だけでなく、長時間の立ち仕事をする人や、普段運動不足の人にも発症する可能性があります。足底腱膜炎のメカニズムを理解することは、適切な治療と予防のために不可欠です。足底腱膜は、足の裏のアーチを支える非常に重要な組織であり、この組織が炎症を起こすことで、日常生活に支障をきたすほどの痛みが生じることがあります。
足底腱膜炎の主な原因
足底腱膜炎の発症には、複数の要因が複雑に関与しています。最も一般的な原因の一つは、過度な運動やスポーツ活動です。特に、ランニングやジャンプを繰り返すスポーツは、足底腱膜に大きな負荷をかけ、炎症を引き起こしやすくなります。また、長時間の立ち仕事も、足底腱膜に持続的な負担をかけるため、リスクを高めます。
不適切な靴の使用も重要な原因です。クッション性の低い靴や、アーチサポートのない靴は、足底腱膜への衝撃を吸収できず、負担を増加させます。扁平足やハイアーチといった足の形状異常も、足底腱膜への負担を偏らせ、炎症のリスクを高めます。肥満も、足底腱膜への負荷を増加させるため、原因の一つとなります。
さらに、加齢に伴い足底腱膜の柔軟性が低下することも、発症リスクを高める要因です。これらの要因が単独で、あるいは複合的に作用することで、足底腱膜炎が発症すると考えられています。原因を特定し、それに応じた対策を講じることが、治療と予防において重要となります。
足底腱膜炎の代表的な症状
足底腱膜炎の最も特徴的な症状は、かかとの内側や土踏まずにかけて生じる痛みです。この痛みは、特に朝起きた直後や、長時間座った後に立ち上がった際に強く感じられることが多いです。これは、睡眠中や安静時に足底腱膜が収縮し、再び伸ばされる際に炎症部位が刺激されるためと考えられています。運動後や長時間の歩行後にも痛みが増すことがあります。これは、運動によって足底腱膜への負荷が増加し、炎症が悪化するためです。
痛みの程度は、軽度の違和感から、歩行困難になるほどの激痛まで様々です。慢性化すると、安静時にも痛みが持続するようになり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
痛みをかばうために、歩き方が不自然になり、膝や腰など他の部位にも負担がかかり、二次的な痛みが生じることもあります。足底腱膜炎の症状は、個人差が大きく、痛みの感じ方や程度も様々です。早期に適切な診断と治療を受けることが、慢性化を防ぐために重要です。
足底腱膜炎の診断方法
問診と身体検査
足底腱膜炎の診断は、まず詳細な問診から始まります。医師は、患者さんの症状、痛みの部位、痛みの種類、痛みが発現するタイミング、既往歴、生活習慣、運動習慣などについて詳しく尋ねます。これにより、足底腱膜炎である可能性が高いかどうかを判断します。
次に、身体検査を行います。医師は、患者さんの足の裏を触診し、圧痛の部位や程度を確認します。特に、踵骨の付着部や足底腱膜の走行に沿って圧痛があるかどうかを調べます。
足の可動域、アキレス腱の柔軟性、足のアーチの状態なども評価します。さらに、患者さんに歩いてもらい、歩き方や姿勢を観察します。足底腱膜炎の場合、痛みをかばうために、特有の歩き方をすることがあります。これらの問診と身体検査の結果を総合的に判断し、足底腱膜炎の診断を行います。
問診と身体検査は、足底腱膜炎の診断において最も重要なステップであり、他の疾患との鑑別にも役立ちます。
画像検査(レントゲン、MRI、エコー)
足底腱膜炎の診断において、画像検査は必ずしも必須ではありませんが、他の疾患との鑑別や、重症度を評価するために役立つことがあります。レントゲン検査は、骨の状態を確認するために行われます。足底腱膜炎が慢性化すると、踵骨に骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の棘ができることがあります。レントゲン検査で骨棘の有無を確認することで、足底腱膜炎の慢性度を判断することができます。また、疲労骨折や腫瘍など、他の疾患を除外するためにもレントゲン検査が行われることがあります。
MRIやエコー検査は、足底腱膜の状態をより詳細に評価するために行われます。MRI検査では、足底腱膜の厚さ、炎症の程度、断裂の有無などを確認することができます。MRI検査は、足底腱膜炎の重症度を判断する上で有用です。また、神経絞扼障害など、他の疾患との鑑別にも役立ちます。ただし、MRI検査は費用が高く、時間もかかるため、すべての患者さんに行われるわけではありません。医師は、問診と身体検査の結果、およびレントゲン検査の結果を総合的に判断し、MRI、エコー検査の必要性を判断します。
足底腱膜炎の治療法:保存療法と手術療法
保存療法:自宅でできるケアと専門家による治療
足底腱膜炎の治療は、まず保存療法から開始されるのが一般的です。保存療法とは、手術を行わずに症状を改善させる治療法のことで、自宅でできるケアと専門家による治療があります。自宅でできるケアとしては、まず安静が重要です。痛みが強い場合は、できるだけ足を休ませ、負担をかけないようにしましょう。足底腱膜のストレッチも効果的です。壁に手をついてアキレス腱を伸ばすようにしたり、タオルを足の指でたぐり寄せる運動などを毎日行いましょう。アイシングも炎症を抑えるのに役立ちます。15分から20分程度、患部を冷やしましょう。
適切な靴を選ぶことも重要です。アーチサポートがあり、クッション性の高い靴を選びましょう。専門家による治療としては、理学療法士によるリハビリテーションがあります。理学療法士は、ストレッチやマッサージ、テーピングなどを行い、足底腱膜の柔軟性を取り戻し、痛みを軽減させます。
薬物療法も行われることがあります。痛み止めや湿布などを使用し、炎症を抑えます。これらの保存療法を根気強く行うことで、多くの場合、症状は改善します。保存療法は、足底腱膜炎の基本的な治療法であり、症状の改善に不可欠です。
体外衝撃波治療
保存療法を数ヶ月続けても症状が改善しない場合、体外衝撃波治療があります。体外衝撃波治療は、患部に衝撃波を当てることで、痛みを軽減させ、組織の修復を促進する治療法です。体外衝撃波治療は、比較的安全で、副作用も少ないとされています。手、医師と十分に相談し、手術のメリットとデメリットを理解した上で、慎重に判断することが重要です。
手術療法は、足底腱膜炎の最終的な治療手段であり、症状の改善に期待できます。近年では、内視鏡を使った低侵襲手術も行われるようになり、患者さんの負担が軽減されています。
足底腱膜炎の予防法:日常生活でできる対策
適切な靴の選び方とインソールの活用
足底腱膜炎の予防には、日常生活での対策が非常に重要です。まず、適切な靴を選ぶことが最も大切です。靴を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。アーチサポートがあるかどうかを確認しましょう。アーチサポートは、足底腱膜への負担を軽減する役割があります。クッション性が高いかどうかを確認しましょう。
クッション性が高い靴は、歩行時の衝撃を吸収し、足底腱膜への負担を軽減します。ヒールの高すぎない靴を選びましょう。ヒールが高い靴は、足底腱膜への負担を増加させます。
また、インソールを活用することも効果的です。インソールは、足のアーチをサポートし、足底腱膜への負担を軽減します。市販のインソールもありますが、足の形状に合わせてオーダーメイドのインソールを作成することも可能です。扁平足やハイアーチの方は、専門家のアドバイスを受けて、適切なインソールを選びましょう。適切な靴とインソールを選ぶことで、足底腱膜炎のリスクを大幅に減らすことができます。
足底腱膜の柔軟性を保つストレッチ
足底腱膜炎の予防には、足底腱膜の柔軟性を保つことが重要です。足底腱膜の柔軟性を保つためには、ストレッチが効果的です。以下に、代表的なストレッチをいくつかご紹介します。
壁に手をついてアキレス腱を伸ばすストレッチ:このストレッチは、足底腱膜だけでなく、アキレス腱も同時に伸ばすことができます。
タオルギャザー:椅子に座り、床に置いたタオルを足の指でたぐり寄せる運動です。足底腱膜を直接伸ばすことができます。
ゴルフボールマッサージ:ゴルフボールを足の裏で転がすようにマッサージします。足底腱膜の緊張をほぐすことができます。これらのストレッチを毎日行うことで、足底腱膜の柔軟性を保ち、足底腱膜炎のリスクを減らすことができます。ストレッチを行う際には、無理のない範囲で行い、痛みを感じたら中止しましょう。ストレッチは、継続することが大切です。毎日、短時間でも良いので、ストレッチを行う習慣をつけましょう。ストレッチは、足底腱膜炎の予防において、非常に重要な役割を果たします。

足底腱膜炎のまとめ
足底腱膜炎は適切な治療とケアで改善可能
足底腱膜炎は、適切な治療とケアを行うことで、多くの場合、改善が期待できる疾患です。早期に専門医を受診し、正確な診断を受けることが重要です。医師の指示に従い、適切な治療を受けるとともに、日常生活でのケアをしっかりと行うことが大切です。安静、ストレッチ、適切な靴の選択、インソールの活用など、できることから始めましょう。痛みを我慢せずに、早めに治療を開始することで、慢性化を防ぐことができます。また、足底腱膜炎は再発しやすい疾患でもあります。再発を防ぐためには、日頃から予防策を実践することが重要です。適切な靴を選び、足底腱膜の柔軟性を保つストレッチを継続し、足に負担をかけすぎないように注意しましょう。足底腱膜炎は、適切な治療とケア、そして予防策を実践することで、克服できる疾患です。諦めずに、根気強く治療に取り組みましょう。足底腱膜炎の克服は、より快適な日常生活を送るための第一歩です。
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