変形性膝関節症は整体で改善する? 痛みの原因と整体の可能性
- よし 整骨院
- 3月30日
- 読了時間: 13分
変形性膝関節症による膝の痛みは、多くの方が悩まされる症状です。整体は、この痛みを和らげ、日常生活を快適にする手助けとなるのでしょうか?この記事では、整形外科で8年間勤務した医療系国家資格者が変形性膝関節症の原因、症状、そして整体で期待できる効果について詳しく解説します。
この記事の監修者情報

資格:柔道整復師 (整骨院を開業できる国家資格)
柔道整復師専科教員(大学、専門学校の柔道整復師科で講義することができる資格)
NSCA CSCS(全米ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)
経歴
2010~2015年 医療法人堺整形外科医院 福岡スポーツクリニック
2015~2017年 医療法人TSC タケダスポーツクリニック
2018~現在 よし姿勢&スポーツ整骨院・整体院
2014~2017年 福岡医療専門学校 非常勤講師
2015~2023年 九州医療専門学校 非常勤講師
2024~現在 福岡医健・スポーツ専門学校 非常勤講師
目次
変形性膝関節症の基礎知識
変形性膝関節症の主な原因
変形性膝関節症の症状チェック
整体で期待できる効果
整体院での施術の流れ
整体を受ける際の注意点
保存療法
手術療法
再生医療
膝に優しい生活習慣
自宅でできる簡単ストレッチ
適切な靴選び
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症の基礎知識
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が徐々にすり減り、関節の変形を引き起こす慢性的な疾患です。この疾患は、加齢に伴う変化が主な原因とされていますが、肥満、過去の膝の怪我、遺伝的要素なども関与することが知られています。
特に日本人は膝の内側の変形が起きやすく、俗にO脚といわれる脚になることが多いです。もちろんX脚の変形もありますが、O脚変形より少ないです。
初期段階では、立ち上がりや歩き始めに膝の痛みを感じることが一般的でスターティングペインといわれています。特に朝起きた時や、長時間座っていた後に症状が現れやすいです。
進行すると、痛みはより頻繁になり、毎回の歩行の時や安静時にも感じるようになることがあります。また、膝の可動域が制限され、正座が困難になったり、階段の上り下りが辛くなったり、膝に水がたまるなどの日常生活に支障をきたす症状が現れることもあります。
変形性膝関節症は、生活の質を著しく低下させる可能性があるため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。症状に気づいたら、早めに専門医に相談し、適切なアドバイスと治療を受けるようにしましょう。

変形性膝関節症の主な原因
変形性膝関節症の主な原因は多岐にわたりますが、最も一般的なのは加齢による軟骨の自然な摩耗です。
膝の骨には関節軟骨というツルツルした軟骨があります。その下には骨組織があります。
軟骨は関節のクッションとして機能し、骨同士が直接ぶつかるのを防ぎますが、年齢とともに弾力性を失い、徐々にすり減っていきます。軟骨はわずかに修復もするのですが、修復よりも摩耗、すり減りのスピードが速いとどんどん軟骨が摩耗し、すり減ります。
進行によって棘ができたり、ツルツルした関節面がボコボコになります。
肥満も大きなリスクファクターであり、過剰な体重が膝関節に継続的な負担をかけることで、軟骨の損傷を加速させます。
過去のスポーツ外傷や事故による膝の骨折や怪我、例えば半月板損傷や靭帯損傷、特に前十字靭帯損傷なども、変形性膝関節症の発症リスクを高めます。これらの怪我は、関節の安定性を損ない、軟骨への不均等な負荷を招く可能性があります。
遺伝的な要因も無視できず、家族に変形性膝関節症の人がいる場合、自身も発症しやすい傾向があります。これらの要因が複合的に作用することで、変形性膝関節症のリスクはさらに高まるため、注意が必要です。

変形性膝関節症の症状チェック
変形性膝関節症の症状は、初期には軽微で気づきにくいこともあり、そのうち治ると放置されることが多いですが、進行するにつれて日常生活に大きな影響を与えるようになり、数か月たっても治らないもんですから、整形外科や整体に通院することを決めることも多いです。ただし何事も早く処置を受けたほうがいいので、下記の症状がある人は要注意です。
初期症状としては、立ち上がりや歩き始めの一時的な膝の痛み、特に朝起きた時や長時間座っていた後に痛みを感じることが挙げられます。階段の上り下りや、長時間の歩行時に痛みが増すことも特徴的です。
進行すると、膝関節の腫れや熱感を伴うことがあり、膝を動かす際にゴリゴリ、ミシミシといった軋み音を感じることもあります。
可動域の制限も重要な症状の一つで、膝が完全に伸びなくなったり、深く曲げることができなくなったりすることがあります。重症化すると、安静時にも痛みが生じ、夜間に痛みで目が覚めることもあります。
これらの症状に複数当てはまる場合は、変形性膝関節症の可能性を考慮し、早めに整形外科を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。早期発見と早期治療が、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持するために不可欠です。

整体は変形性膝関節症に効果がある?
整体で期待できる効果
整体は、変形性膝関節症に伴う症状の緩和に対して、一定の効果が期待できる場合があります。
変形性膝関節症はなぜ起きるのかといううと、年齢的な変化、遺伝のほかに、足首や股関節骨盤帯、胸郭の可動域が狭くなること負担が蓄積しておきます。
整体の施術は、体の歪みを調整し、筋肉や関節のバランスを整えることを目的としています。変形性膝関節症の場合、膝関節だけでなく、股関節や足首など、周辺の関節や筋肉の状態も膝への負担に影響を与える可能性があります。整体では、これらの関節や筋肉の柔軟性を高め、バランスを整えることで、膝への負担を軽減し、痛みの緩和を目指します。
特に、股関節の可動域を広げたり、足首の柔軟性を高めることで、歩行時の膝への負担を分散させることが期待できます。また、筋肉の緊張を和らげることで、関節の動きをスムーズにし、痛みを軽減する効果も期待できます。
変形性膝関節症に特化した施術を提供している整体院もあり、個々の症状に合わせたアプローチが可能です。ただし、整体は根本的な治療法ではないため、初期~中期の症状症状の改善には効果がありますが、進行してしまっている膝痛の改善には限界があることを理解しておく必要があります。
整体院での施術の流れ
整体院での施術は、まず丁寧な問診から始まります。問診では、膝の痛みの具体的な状況、既往歴、生活習慣などについて詳しく聞かれます。次に、姿勢のチェックや関節の可動域の検査など、体の状態を評価するための検査が行われます。これらの情報をもとに、施術者は膝の状態や痛みの原因を特定し、個別の施術プランを作成します。
施術では、手技や特殊な器具を用いて、関節の可動域を広げたり、筋肉の緊張を和らげたりする施術が行われます。具体的には、関節の調整、筋肉のストレッチ、マッサージなどが行われます。施術後には、自宅でできるストレッチや運動、日常生活での注意点などのアドバイスを受けることができます。
これらのセルフケアを継続することで、施術の効果を持続させ、症状の改善を促進することが期待できます。施術の流れは整体院によって異なる場合があるため、事前に確認しておくことが大切です。
当院ではトリガーポイントと筋膜リリース、骨盤調整の組み合わで施術を行っております

整体を受ける際の注意点
整体は、変形性膝関節症の症状緩和に有効な手段の一つとなりえますが、受ける際にはいくつかの注意点があります。まず、整体は根本的な治療法ではないことを理解しておく必要があります。
整体は、症状の緩和や体のバランスを整えることを目的としており、変形した軟骨を元に戻すことはできません。そのため、症状が改善しない場合や、悪化する場合は、速やかに整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
整体院を選ぶ際には、施術者の資格や経験をしっかりと確認しましょう。国家資格である柔道整復師や理学療法士の資格を持っている施術者や、変形性膝関節症の施術経験が豊富な施術者を選ぶことが望ましいです。また、施術前にしっかりとカウンセリングを行い、自分の症状や希望を伝えることが大切です。施術内容や料金についても事前に確認し、納得した上で施術を受けるようにしましょう。信頼できる整体院を見つけることが、安心して施術を受けるための第一歩です。

変形性膝関節症の治療法
保存療法
変形性膝関節症の治療は、症状の程度や進行具合によって、保存療法と手術療法に大きく分けられます。保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法で、初期から中程度の症状に対して一般的に選択されます。保存療法には、薬物療法、運動療法、装具療法などがあります。
薬物療法では、痛み止め(鎮痛剤)や湿布などが用いられます。これらの薬は、痛みを一時的に和らげる効果がありますが、根本的な治療にはなりません。
運動療法では、筋力トレーニングやストレッチなどを行い、膝関節の安定性を高めます。特に、太ももの筋肉(大腿四頭筋)や内転筋、臀部の筋肉を鍛えることで、膝への負担を軽減することができます。
装具療法では、膝サポーターや足底板などを使用し、膝への負担を軽減したり、関節の位置を矯正したりします。これらの保存療法を組み合わせることで、症状の改善や進行の遅延を目指します。医師や理学療法士の指導のもと、適切な方法で継続することが重要です。
手術療法
手術療法は、保存療法では十分な効果が得られない場合や、症状が重度で日常生活に著しい支障をきたす場合に検討されます。
手術方法には、関節鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などがあります。
関節鏡手術は、膝関節に小さな穴を開け、内視鏡(関節鏡)を挿入して行う手術で、半月板損傷や軟骨の損傷などの修復を行います。
高位脛骨骨切り術は、脛骨(すねの骨)の一部を切り取り、角度を調整することで、膝関節にかかる負担を軽減する手術です。この手術は、比較的若い患者さんで、膝の一部分に負担が集中している場合に適応されます。
人工膝関節置換術は、傷んだ膝関節を人工関節に置き換える手術で、変形性膝関節症の最も一般的な手術法です。この手術により、痛みが大幅に軽減され、関節の可動域が改善されることが期待できます。手術方法の選択は、患者さんの年齢、活動レベル、膝の状態などを総合的に考慮して決定されます。
手術を受ける際には、医師と十分に相談し、手術のメリット・デメリットを理解が必要です。
再生医療
近年、変形性膝関節症に対する新たな治療法として、再生医療が注目を集めています。再生医療は、自己の細胞や組織を用いて、損傷した軟骨の修復や再生を促すことを目的とする治療法です。代表的な再生医療としては、自己脂肪由来幹細胞治療やPRP(多血小板血漿)療法などがあります。自己脂肪由来幹細胞治療は、患者自身の脂肪組織から幹細胞を抽出し、培養して膝関節に注入する治療法です。幹細胞は、軟骨細胞に分化する能力を持っており、軟骨の修復を促進することが期待されます。
PRP療法は、患者自身の血液から多血小板血漿を抽出し、膝関節に注入する治療法です。多血小板血漿には、成長因子が豊富に含まれており、炎症を抑えたり、組織の修復を促進する効果が期待されます。リペアセルクリニックでは、変形性膝関節症に対する再生医療を提供しており、痛みの軽減や機能改善を目指しています。再生医療は、まだ新しい治療法であり、長期的な効果や安全性についてはさらなる研究が必要ですが、従来の治療法で十分な効果が得られなかった患者さんにとって、新たな選択肢となる可能性があります。
整体以外のセルフケア
膝に優しい生活習慣
変形性膝関節症の症状を緩和し、進行を遅らせるためには、日常生活での工夫が非常に重要です。まず、適切な体重を維持することが大切です。肥満は膝への負担を増大させるため、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。膝に負担のかかる動作を避けることも重要です。例えば、重いものを持ち上げる際には、膝を曲げずに腰を落として持ち上げるようにしましょう。
正座やしゃがみ込みなどの姿勢は、膝に大きな負担がかかるため、できるだけ避けるようにしましょう。和式の生活様式から、椅子やベッドなどを使用する洋式の生活様式に変えることも有効です。また、長時間同じ姿勢でいることを避け、こまめに休憩を挟むようにしましょう。これらの生活習慣の見直しは、膝への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐために役立ちます。日々の積み重ねが、膝の健康を維持するために不可欠です。
自宅でできる簡単ストレッチ
自宅でできる簡単なストレッチは、膝関節の柔軟性を高め、痛みを和らげるために非常に効果的です。まず座って行う膝の曲げ伸ばしは、膝関節の可動域を広げるのに役立ちます。ゆっくりと膝を伸ばし、ゆっくりと曲げる動作を繰り返しましょう。

次に、アキレス腱伸ばしは、ふくらはぎの筋肉をストレッチすることで、膝への負担を軽減する効果があります。壁に手をつき、片足を後ろに引いて、アキレス腱を伸ばしましょう。

太もものストレッチも重要です。仰向けに寝て、片方の膝を胸に引き寄せるように抱え込むことで、太ももの裏側の筋肉(ハムストリングス)をストレッチできます。

また、横向きに寝て、片方の足を後ろに引き、手で足首を持つことで、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)をストレッチできます。これらのストレッチを毎日、無理のない範囲で行うことで、膝関節の柔軟性を高め、痛みの緩和に繋げることができます。ストレッチを行う際には、痛みを感じない範囲で行い、呼吸を止めないように注意しましょう。

適切な靴選び
靴は、歩行時の膝への負担を大きく左右する要素の一つです。変形性膝関節症の方は、適切な靴を選ぶことで、膝への衝撃を和らげ、痛みを軽減することができます。まず、クッション性の高い靴を選ぶことが重要です。クッション性の高い靴は、歩行時の衝撃を吸収し、膝への負担を軽減します。また、アーチサポートのある靴を選ぶこともおすすめです。アーチサポートは、足のアーチを支え、足全体のバランスを整えることで、膝への負担を分散させる効果があります。
ハイヒールなどの膝に負担のかかる靴は、できるだけ避けるようにしましょう。ハイヒールは、重心が前に偏り、膝に過剰な負担をかけるため、変形性膝関節症の症状を悪化させる可能性があります。靴底が硬い靴も、衝撃を吸収しにくいため、避けるようにしましょう。ウォーキングシューズやランニングシューズなど、クッション性と安定性に優れた靴を選ぶことが望ましいです。靴を選ぶ際には、実際に履いてみて、歩きやすさやフィット感を確かめることが大切です。
まとめ
変形性膝関節症による膝の痛みは、多くの人々が悩まされる一般的な問題です。この記事では、変形性膝関節症の原因、症状、治療法、そして整体の可能性について詳しく解説しました。膝の痛みは、加齢、肥満、怪我など、様々な要因によって引き起こされる可能性があります。早期の段階で適切な対策を講じることが、症状の進行を遅らせ、生活の質を維持するために重要です。
整体は、体の歪みを整え、筋肉や関節のバランスを調整することで、膝への負担を軽減し、痛みの緩和を目指す手段の一つです。整体や再生医療に加えて、膝に優しい生活習慣、自宅でできるストレッチ、適切な靴選びなどのセルフケアも、症状の改善に役立ちます。膝の痛みにお悩みの方は、この記事を参考に、自分に合った治療法やセルフケアを見つけ、積極的に取り組んでみてください。
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