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テニス肘の痛みを解消!原因、症状、治療、予防法を徹底解説

  • 執筆者の写真: よし 整骨院
    よし 整骨院
  • 10月10日
  • 読了時間: 12分
テニス肘の様子

テニス肘は、肘の外側の痛みが特徴的な疾患です。テニス愛好家だけでなく、日常生活で腕をよく使う人にも起こりえます。この記事では、テニス肘の原因、症状、診断、治療法、そして予防法について詳しく解説します。つらい肘の痛みから解放され、快適な生活を取り戻しましょう。


この記事の監修者情報

記事の監修者の顔
吉原 稔

資格:柔道整復師 (整骨院を開業できる国家資格)

柔道整復師専科教員(大学、専門学校の柔道整復師科で講義することができる資格)

NSCA CSCS(全米ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)

経歴

2010~2015年 医療法人堺整形外科医院 福岡スポーツクリニック

2015~2017年 医療法人TSC タケダスポーツクリニック

2018~現在 よし姿勢&スポーツ整骨院・整体院

2014~2017年 福岡医療専門学校 非常勤講師

2015~2023年 九州医療専門学校 非常勤講師

2024~現在   福岡医健・スポーツ専門学校 非常勤講師


目次

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは?

・テニス肘の定義と概要

・テニス肘になりやすい人の特徴

・テニス肘の痛みの場所と特徴

テニス肘の原因とメカニズム

・筋肉の酷使と微小損傷

・加齢による腱の変性

・不適切なフォームや道具

テニス肘の診断方法

・問診と理学検査

・Thomsenテスト(トムセンテスト)

・画像検査(レントゲン、MRI)

テニス肘の治療法

・保存療法(安静、冷却、サポーター)

・薬物療法(痛み止め、湿布)

・理学療法(ストレッチ、筋力トレーニング)

テニス肘の予防策

・正しいフォームとウォーミングアップ

・適切な道具の選択

・定期的なストレッチとケア

まとめ


テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは?


テニス肘の定義と概要


テニス肘、正式には上腕骨外側上顆炎とは、肘の外側にある上腕骨外側上顆と呼ばれる骨の突起部分に炎症が生じる疾患のことです。この炎症は、手首や指を伸ばす筋肉の腱が上腕骨外側上顆に付着している部分に負担がかかることで起こります。


テニスをする人に多く見られることからこの名が付きましたが、実際にはテニスプレイヤーに限らず、日常生活や仕事で手や腕を頻繁に使う人にも発症する可能性があります。



テニス肘になると、肘の外側を中心に痛みが生じ、物を持ち上げたり、ドアノブを回したりする動作が困難になることがあります。また、痛みが慢性化すると、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。早期の診断と適切な治療により、症状の改善や再発予防が期待できます。


テニス肘になりやすい人の特徴

テニス肘は、特定の職業や生活習慣を持つ人に発症しやすい傾向があります。


特に、手首や腕を酷使する作業を日常的に行う人は注意が必要です。


例えば、テニスやバドミントンなどのラケットスポーツを頻繁にプレーする人は、手首を反らす動作を繰り返すため、肘に負担がかかりやすくなります。


また、パソコン作業を長時間行う人も、キーボードやマウスの操作で手首や腕の筋肉を酷使するため、テニス肘のリスクが高まります。さらに、大工や調理師など、手作業で重い物を持ち上げたり、繰り返したりする職業の人も、テニス肘を発症しやすいと言われています。加齢に伴い腱の柔軟性が低下することもリスクを高める要因です。


テニス肘の痛みの場所と特徴

テニス肘の主な症状は、肘の外側の痛みです。この痛みは、上腕骨外側上顆と呼ばれる肘の骨の突起部分を中心に感じられます。痛みは、物を持ち上げたり、ドアノブを回したり、タオルを絞ったりするような、手首や腕を使う動作で悪化することが多いです。


特に、手首を反らす動作や、肘を伸ばす動作で痛みを感じやすいのが特徴です。



また、痛みが慢性化すると、安静時にも鈍い痛みや違和感が続くことがあります。重症の場合には、夜間に痛みで目が覚めたり、日常生活に支障をきたすこともあります。痛みの感じ方には個人差があり、初期には軽い痛みでも、放置すると徐々に悪化していくこともあります。早期に適切な治療を受けることが重要です。


テニス肘の原因とメカニズム


筋肉の酷使と微小損傷

テニス肘の根本的な原因は、肘周辺の筋肉、特に手首を伸ばす筋肉群の使いすぎによる微小な損傷の蓄積です。これらの筋肉は、手首を反らす、物を握る、といった動作を頻繁に行うことで酷使され、筋肉が付着する上腕骨外側上顆に過剰な負担がかかります。


この状態が続くと、腱の組織に小さな亀裂や炎症が生じ、痛みや機能障害を引き起こします。特に、短橈側手根伸筋という筋肉がテニス肘の発症に深く関わっていると考えられています。この筋肉は、手首を反らす動作を主に担っており、日常生活やスポーツにおいて頻繁に使用されるため、損傷を受けやすいのです。筋肉の酷使は、一度に大きな力が加わる場合だけでなく、長時間の反復運動によっても起こりえます。

外側上顆炎の説明

加齢による腱の変性

加齢は、テニス肘の発症リスクを高める重要な要因の一つです。年齢を重ねるにつれて、腱の組織は徐々に変性し、柔軟性や弾力性を失っていきます。腱は、コラーゲンというタンパク質で構成されていますが、加齢とともにコラーゲンの質が低下し、腱の強度が弱まります。


そのため、若い頃には問題なく行えていた動作でも、加齢に伴い腱に負担がかかりやすくなり、微小な損傷が蓄積しやすくなります。また、腱の修復能力も加齢とともに低下するため、一度損傷を受けた腱は、なかなか回復せずに慢性的な炎症を引き起こしやすくなります。


腱の変性は、誰にでも起こりうる自然な現象ですが、日頃から適切なケアを行うことで、その進行を遅らせることができます。


不適切なフォームや道具

スポーツを行う際、不適切なフォームや自分に合わない道具を使用することも、テニス肘の大きな原因となります。例えば、テニスの場合、スイング時に手首を使いすぎたり、ラケットのグリップが太すぎたりすると、肘に過剰な負担がかかります。また、ゴルフクラブの場合、シャフトの硬さやグリップの太さが自分に合っていないと、スイング時に肘を痛めることがあります。


これらの不適切なフォームや道具は、肘周辺の筋肉や腱に過剰なストレスを与え、微小な損傷を引き起こしやすくします。特に、初心者や経験の浅い人は、正しいフォームを身につけていないことが多く、肘を痛めるリスクが高まります。専門家による指導を受け、正しいフォームを習得することが重要です。また、道具を選ぶ際には、専門家のアドバイスを受け、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。


テニス肘の診断方法

問診と理学検査

テニス肘の診断は、まず医師による丁寧な問診から始まります。問診では、患者さんの症状、痛みの程度、発症時期、日常生活での活動内容などを詳しく聞き取ります。特に、どのような動作で痛みが増強するか、過去に肘を痛めた経験があるか、スポーツ歴や職業などを確認することが重要です。


次に、理学検査を行います。理学検査では、肘の可動域や圧痛の有無、特定の動作で痛みが増強するかどうかなどを評価します。医師は、肘の外側にある上腕骨外側上顆を触診し、圧痛があるかどうかを確認します。また、手首を反らす動作や、肘を伸ばす動作をしてもらい、痛みが増強するかどうかを調べます。これらの問診と理学検査の結果を総合的に判断し、テニス肘の診断を行います。


Thomsenテスト(トムセンテスト)

Thomsenテストは、テニス肘の診断において非常に有用な理学検査の一つです。このテストは、患者さんに手首を反らせた状態で力を入れてもらい、医師がその力に抵抗することで行います。


具体的には、患者さんは肘を伸ばした状態で、手首を手の甲側に反らします。医師は、患者さんの手首に抵抗を加え、手首が曲がらないように力を入れます。この際、肘の外側に痛みが生じた場合、テニス肘の可能性が高いと判断されます。


Thomsenテストは、比較的簡単に行うことができ、テニス肘の診断精度も高いため、多くの医療機関で用いられています。ただし、Thomsenテストだけで診断を確定するのではなく、他の理学検査や画像検査の結果も総合的に考慮することが重要です。


画像検査(レントゲン、MRI)

画像検査は、テニス肘の診断を確定するため、または他の疾患との鑑別を行うために行われることがあります。レントゲン検査は、骨の状態を確認するために用いられます。テニス肘自体は腱の炎症であるため、レントゲンでは直接的な異常は見られないことが多いですが、骨折や変形性関節症など、他の疾患を除外するために行われることがあります。


MRI検査は、腱や靭帯などの軟部組織の状態を詳しく評価するために行われることがあります。MRI検査では、腱の炎症や損傷、腫れなどを確認することができます。また、他の疾患(肘部管症候群など)との鑑別にも役立ちます。ただし、MRI検査は費用が高く、検査時間も長いため、すべての患者さんに行われるわけではありません。医師が必要と判断した場合にのみ行われます。


テニス肘の治療法

保存療法(安静、冷却、サポーター)

テニス肘の治療は、多くの場合、保存療法から開始されます。保存療法とは、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法のことで、安静、冷却、サポーターの使用などが含まれます。


まず、安静を保つことが重要です。痛みのある動作を避け、肘への負担を軽減するように心がけましょう。冷却は、炎症を抑えるために有効です。


患部にアイスパックや冷却ジェルなどを当て、15〜20分程度冷やしましょう。サポーターは、肘への負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。肘を固定するタイプのサポーターや、筋肉をサポートするタイプのサポーターなど、様々な種類がありますので、医師や理学療法士に相談し、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。これらの保存療法を適切に行うことで、症状の改善が期待できます。


薬物療法(痛み止め、湿布)

薬物療法は、テニス肘の痛みを緩和するために用いられます。痛み止めとしては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)がよく使用されます。NSAIDsは、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。内服薬として処方されることもありますが、胃腸障害などの副作用が出ることがあるため、注意が必要です。


湿布は、患部に直接貼ることで、痛みを和らげる効果があります。湿布には、冷感タイプと温感タイプがありますが、炎症が強い場合は冷感タイプ、慢性的な痛みには温感タイプが適しています。


薬物療法は、一時的に痛みを抑えるためのものであり、根本的な治療にはなりません。保存療法や理学療法と併用することで、より効果的な治療が期待できます。医師や薬剤師に相談し、適切な薬を選び、用法・用量を守って使用しましょう。


理学療法(ストレッチ、筋力トレーニング)

理学療法は、テニス肘の治療において非常に重要な役割を果たします。理学療法では、ストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法を行い、肘周辺の筋肉や腱の柔軟性や強度を高めます。


ストレッチは、硬くなった筋肉や腱を伸ばし、関節の可動域を広げる効果があります。特に、手首を伸ばす筋肉や、肘を曲げる筋肉のストレッチが重要です。筋力トレーニングは、肘周辺の筋肉を強化し、肘への負担を軽減する効果があります。


軽いダンベルやチューブなどを使用し、手首を反らす運動や、肘を曲げる運動などを行います。理学療法は、専門の理学療法士の指導のもとで行うことが望ましいです。個々の症状や状態に合わせて、適切なストレッチや筋力トレーニングのメニューを作成してもらいましょう。

前腕外側のストレッチのやり方

テニス肘の予防策

正しいフォームとウォーミングアップ

スポーツを行う際には、正しいフォームを身につけることが、テニス肘の予防に不可欠です。不適切なフォームは、肘に過剰な負担をかけ、テニス肘の発症リスクを高めます。専門家(コーチやインストラクター)の指導を受け、正しいフォームを習得するように心がけましょう。


また、ウォーミングアップも非常に重要です。ウォーミングアップは、筋肉や腱を温め、柔軟性を高める効果があります。運動前に、手首や肘のストレッチ、軽いジョギングなどを行い、体を十分に温めてから運動を開始しましょう。ウォーミングアップを行うことで、筋肉や腱の損傷を防ぎ、テニス肘のリスクを軽減することができます。運動後には、クールダウンを行い、筋肉の疲労を回復させることも大切です。


適切な道具の選択

テニス肘を予防するためには、スポーツで使用する道具を適切に選択することも重要です。例えば、テニスラケットの場合、グリップのサイズが合っていないと、手首や肘に過剰な負担がかかります。グリップが太すぎると、握る際に余計な力が必要となり、肘を痛める原因となります。


逆に、グリップが細すぎると、ラケットをしっかりと握ることができず、手首を使いすぎてしまい、肘に負担がかかります。ラケットの重量やバランスも重要です。重すぎるラケットやバランスが悪いラケットは、肘に負担をかけやすくなります。


スポーツ用品店で専門家のアドバイスを受け、自分に合った道具を選ぶようにしましょう。また、道具の状態も定期的にチェックし、劣化している場合は交換するようにしましょう。


定期的なストレッチとケア

日頃から肘周辺の筋肉や腱のストレッチを行い、柔軟性を保つことは、テニス肘の予防に非常に効果的です。特に、手首を伸ばす筋肉や、肘を曲げる筋肉のストレッチを行うように心がけましょう。ストレッチは、入浴後など、体が温まっている状態で行うとより効果的です。


また、運動後にはアイシングやマッサージなどのケアを行い、筋肉の疲労を回復させることが大切です。アイシングは、炎症を抑える効果があります。患部にアイスパックや冷却ジェルなどを当て、15〜20分程度冷やしましょう。マッサージは、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進する効果があります。肘周辺の筋肉を優しくマッサージすることで、疲労回復を促しましょう。


これらのストレッチとケアを定期的に行うことで、テニス肘のリスクを軽減し、快適なスポーツライフを送ることができます。


まとめ

テニス肘は、肘の外側に痛みが生じる疾患であり、スポーツ愛好家だけでなく、日常生活で腕を酷使する人にも発症する可能性があります。しかし、適切な治療と予防を行うことで、症状を改善し、再発を防ぐことができます。



肘の痛みが気になる場合は、早めに専門医を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。医師は、問診や理学検査、画像検査などを行い、テニス肘かどうかを判断します。治療法としては、保存療法(安静、冷却、サポーター)、薬物療法(痛み止め、湿布)、理学療法(ストレッチ、筋力トレーニング)などがあります。


また、日常生活での注意点や予防策を実践することで、テニス肘のリスクを軽減し、快適な生活を送ることができます。正しいフォームでの運動、適切な道具の選択、定期的なストレッチとケアを心がけましょう。テニス肘に悩まされている方は、諦めずに専門家のアドバイスを受け、適切な治療と予防に取り組んでください。

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