変形性股関節症とは?原因・症状・治療法を徹底解説
- 6月9日
- 読了時間: 15分

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り、痛みや機能障害を引き起こす疾患です。中高年を中心に多くの人が悩んでおり、日常生活に支障をきたすこともあります。
この記事では、変形性股関節症の原因、症状、治療法について、整形外科で8年間勤務して、専門学校で非常勤講師をしながら整骨院,整体院をしている医療従事者が詳しく解説します。
この記事の監修者情報

資格:柔道整復師 (整骨院を開業できる国家資格)
柔道整復師専科教員(大学、専門学校の柔道整復師科で講義することができる資格)
NSCA CSCS(全米ストレングス・コンディショニングスペシャリスト)
経歴
2010~2015年 医療法人堺整形外科医院 福岡スポーツクリニック
2015~2017年 医療法人TSC タケダスポーツクリニック
2018~現在 よし姿勢&スポーツ整骨院・整体院
2014~2017年 福岡医療専門学校 非常勤講師
2015~2023年 九州医療専門学校 非常勤講師
2024~現在 福岡医健・スポーツ専門学校 非常勤講師
目次
・股関節の構造と変形性股関節症のメカニズム
・変形性股関節症の診断基準
・臼蓋形成不全との関連性
・加齢と変形性股関節症
・生活習慣と変形性股関節症
・遺伝的要因
・初期症状:股関節の違和感と軽い痛み
・進行した症状:可動域制限と強い痛み
・その他の症状:跛行と腰痛
・保存療法:運動療法と薬物療法
・手術療法:人工股関節置換術
・日常生活での注意点
・適切な体重管理
・定期的な運動
変形性股関節症とはどのような病気?
股関節の構造と変形性股関節症のメカニズム
股関節は、骨盤と大腿骨をつなぐ人体の中でも重要な関節の一つであり、
歩行、走行、 ジャンプ、 階段昇降など、日々の生活における様々な動作を円滑に、
そして安定的に支える役割を担っています。
この股関節が変形性股関節症という病気によって正常な機能を失うと、
日常生活に大きな支障をきたすことになります。
変形性股関節症は、股関節を構成する軟骨が徐々に摩耗し、変形していく進行性の病気です。
軟骨は、骨と骨の間でクッションのような役割を果たし、関節の滑らかな動きを助けています。
しかし、長年の使用や様々な要因によって軟骨がすり減ると、骨同士が直接ぶつかり合うようになり、
痛みや炎症を引き起こします。
その結果、関節の変形が進み、可動域が狭まってしまうのです。
この病気は、初期段階では軽度の痛みや違和感として現れることが多いですが、
放置すると徐々に症状が悪化し、日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
早期発見と適切な治療が、 症状の進行を遅らせ、 快適な生活を維持するために重要です。

変形性股関節症の診断基準
変形性股関節症の診断は、患者さんの症状、身体所見、そして画像検査の結果を総合的に評価して行われます。
まず、医師は患者さんから詳細な問診を行い、いつから、どのような時に、 どこに痛みを感じるのか、日常生活にどのような支障があるのかなどを詳しく聞き取ります。
これにより、 変形性股関節症の可能性を評価します。
次に、 身体診察では、股関節の可動域、 痛みのある場所、関節の安定性などを確認します。
医師は、股関節を様々な方向に動かし、 痛みや可動域制限の有無を評価します。
また、歩行状態や姿勢なども観察し、股関節の状態を把握します。
レントゲン検査は、変形性股関節症の診断において最も重要な検査の一つです。
レントゲン写真では、関節の隙間の狭まり具合、骨棘(骨のとげ)の形成、
骨硬化(骨が硬くなる現象)などを確認することができます。
これらの所見は、変形性股関節症の進行度合いを評価する上で重要な指標となります。
より詳細な状態を把握するために、MRI検査が行われることもあります。
MRI検査では、軟骨の状態や関節周囲の組織の状態をより鮮明に確認することができます。

臼蓋形成不全との関連性
臼蓋形成不全は、股関節を構成する骨盤側の受け皿である臼蓋の発育が不十分な状態を指します。
本来、臼蓋は大腿骨頭を十分に覆い、関節の安定性を保つ役割を果たしていますが、
臼蓋形成不全の場合、大腿骨頭の被覆が不十分となり、股関節に過剰な負担がかかりやすくなります。
この状態が長期間続くと、股関節の軟骨が早期に摩耗し、
変形性股関節症の発症リスクを高めることが知られています。
特に、若い女性に変形性股関節症が多く見られる背景には、
臼蓋形成不全が関係していることが多いとされています。
臼蓋形成不全は、自覚症状がない場合も多いため、定期的な検診や、
股関節に違和感を感じた際には早めに専門医に相談することが重要です。
臼蓋形成不全の程度によっては、手術による治療が必要となる場合もあります。
手術では、臼蓋の形状を修正し、大腿骨頭の被覆を改善することで、股関節の安定性を高め、
変形性股関節症の進行を抑制することが期待できます。
早期に適切な治療を行うことで、将来的な股関節の痛みを軽減し、
活動的な生活を送ることが可能になります。
変形性股関節症の原因
加齢と変形性股関節症
変形性股関節症の発症には、加齢が大きな要因の一つとして挙げられます。
年齢を重ねるにつれて、股関節の軟骨は徐々にその質を変化させます。
具体的には、軟骨に含まれる水分量が減少し、 弾力性や柔軟性が失われていくのです。
これにより、軟骨は衝撃を吸収する能力が低下し、 わずかな負担でも損傷しやすくなります。
また、加齢に伴い、 軟骨の修復能力も低下します。
若い頃であれば自然に修復されていた小さな損傷も、 年齢を重ねると修復が追いつかなくなり、 徐々に軟骨の変形が進んでいきます。
このような軟骨の変化に加えて、股関節周囲の筋肉や靭帯の柔軟性も低下することで、
関節の安定性が損なわれ、 変形性股関節症のリスクがさらに高まるのです。
加齢による変化は避けられないものですが、 適切な運動や生活習慣の見直しによって、
変形性股関節症の進行を遅らせることは可能です。
生活習慣と変形性股関節症
生活習慣は、変形性股関節症の発症や進行に深く関わっています。
特に、肥満、運動不足、 不適切な姿勢、過度な運動などは、股関節に過剰な負担をかけ、
軟骨の摩耗を促進する可能性があります。
肥満は、股関節にかかる負荷を増加させ、軟骨への負担を増大させます。
体重が増加するほど、股関節はより大きな力を支えなければならず、 軟骨の摩耗が加速されます。
運動不足は、股関節周囲の筋肉を弱体化させ、関節の安定性を損ないます。
筋肉は、関節を支え、衝撃を吸収する役割を果たしていますが、
運動不足によって筋肉が衰えると、その機能が低下し、股関節への負担が増加します。
また、長時間の立ち仕事や、同じ姿勢での作業は、股関節に持続的な圧力をかけ、
軟骨の変形を促進する可能性があります。 適切な姿勢を保ち、
定期的に休憩を取り、股関節を動かすことが重要です。
過度な運動も、股関節に過剰な負担をかける可能性があります。
特に、ジャンプやランニングなど、 股関節に強い衝撃が加わる運動は、
軟骨を損傷するリスクを高めます。
遺伝的要因
変形性股関節症の発症には、遺伝的な要因も関与していると考えられています。
家族歴、特に両親や兄弟姉妹に、変形性股関節症の人がいる場合、
自身も発症するリスクが高まる可能性があります。
これは、股関節の形状や軟骨の質、関節周囲の組織の構造などが遺伝的に受け継がれるためと考えられています。
ただし、遺伝的要因だけで変形性股関節症が発症するわけではありません。
生活習慣や環境要因なども複合的に関与し、発症のリスクを左右します。
家族歴があるからといって悲観する必要はなく、早期から適切な予防策を講じることで、
発症を遅らせたり、 症状の進行を緩やかにしたりすることが可能です。
具体的には、適切な体重管理、バランスの取れた食事、 適度な運動などを心がけることが重要です。
また、定期的な検診を受け、 股関節の状態をチェックすることも有効です。
もし、股関節に違和感や痛みを感じた場合は、 早めに専門医に相談し、
適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
変形性股関節症の症状
初期症状:股関節の違和感と軽い痛み
変形性股関節症の初期段階では、股関節に違和感や軽い痛みを感じることが一般的です。
これらの症状は、 通常、 股関節を動かした時や、長時間同じ姿勢を続けた後に現れやすく、
休息することで軽減することがあります。
初期の痛みは、 「なんとなく股関節が重い」「少しだけ突っ張る感じがする」といった、
はっきりしない違和感として自覚されることもあります。
具体的には、歩き始めや立ち上がり時、 階段の上り下り、長時間の歩行後などに症状が現れやすいです。
また、 朝起きた時に股関節がこわばる感じがしたり、 軽い運動をした後に痛みが出たりすることもあります。
これらの症状は、 一時的なものとして見過ごされがちですが、
変形性股関節症の初期兆候である可能性もあるため、 注意が必要です。
もし、これらの症状が続くようであれば、 早めに整形外科を受診し、
適切な検査を受けることをお勧めします。
早期発見と早期治療が、 症状の進行を遅らせ、より快適な生活を送るために重要です。
進行した症状:可動域制限と強い痛み
変形性股関節症が進行すると、股関節の可動域が徐々に制限され、日常生活に支障をきたすほどの強い痛みを感じるようになります。
初期段階では、 特定の動作の時にだけ痛みを感じていたのが、
進行すると、安静時にも痛みを感じるようになることがあります。
股関節の可動域制限が進むと、 足を大きく開いたり、股関節を深く曲げたりすることが難しくなります。
具体的には、階段の上り下りが困難になったり、 靴下を履く、 爪を切る、
床に座るなどの動作が困難になったりすることがあります。
また、 和式のトイレを使用することが難しくなることもあります。
痛みも強くなり、夜間にも痛みが続くことで、睡眠の質が低下することもあります。
これらの症状は、 日常生活の質を著しく低下させるため、適切な治療が必要です。
痛みが強くて日常生活に支障がある場合は、 我慢せずに、 早めに専門医に相談し、
適切な治療を受けるようにしましょう。手術療法を含めた、 様々な治療法が検討されます。
その他の症状:跛行と腰痛
変形性股関節症が進行すると、股関節の痛みをかばうために、歩き方が不自然になることがあります。
これを跛行(はこう)といいます。
跛行は、 痛みを避けるために、 患側の足に体重をかける時間を短くしたり、
歩幅を小さくしたりすることで起こります。
跛行が続くと、 全身のバランスが崩れ、 腰や膝など、他の関節にも負担がかかるようになります。
また、股関節の痛みが腰に響き、腰痛を引き起こすこともあります。
股関節と腰は、 互いに影響しあう関係にあり、股関節の異常が腰に負担をかけたり、
腰の異常が股関節に影響を与えたりすることがあります。
変形性股関節症による腰痛は、 一般的な腰痛とは異なり、股関節の痛みが原因となっているため、
股関節の治療を行うことで、 腰痛も改善することがあります。
跛行や腰痛は、変形性股関節症の進行を示すサインである可能性があります。
これらの症状が現れた場合は、 早めに専門医に相談し、 適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
放置すると、 症状が悪化し、 日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
変形性股関節症の治療法
保存療法:運動療法・薬物療法・装具療法
変形性股関節症の治療は、症状の程度や患者さんの状態に合わせて、
保存療法と手術療法のいずれかが選択されます。
初期の変形性股関節症には、 まず保存療法が試みられます。
保存療法には、 運動療法、薬物療法、装具療法などがあります。
運動療法は、股関節周囲の筋肉を強化し、関節の安定性を高めることを目的とします。
具体的には、股関節の可動域を広げるストレッチや、 筋力トレーニングなどを行います。
理学療法士の指導のもと、 正しい方法で運動を行うことが重要です。
薬物療法では、痛み止めや炎症を抑える薬を使用します。
痛み止めとしては、 アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが用いられます。
これらの薬は、 痛みを和らげる効果がありますが、 長期的に使用すると、
胃腸障害や腎機能障害などの副作用が出ることがあるため、医師の指示に従って服用することが重要です。
装具療法では、股関節を安定させるためのサポーターや、 杖などを使用します。
これらの装具は、股関節への負担を軽減し、 痛みを和らげる効果があります。
保存療法は、 症状の進行を遅らせ、 痛みを軽減することを目的としていますが、
変形性股関節症を根本的に治すことはできません。
手術療法:人工股関節置換術
保存療法で症状が改善しない場合や、病状が進行している場合には、手術療法が検討されます。
手術療法には、 関節鏡手術や人工股関節置換術などがあります。
関節鏡手術は、 関節の内部を観察し、 軟骨の損傷部分を修復したり、
炎症を起こしている組織を取り除いたりする手術です。初期の変形性股関節症に対して行われることがあります。
人工股関節置換術は、傷んだ股関節を人工関節に置き換える手術であり、
変形性股関節症に対する最も一般的な手術です。
痛みの原因となっている関節を人工物に置き換えることで、
痛みを取り除き、関節の機能を回復させる効果が期待できます。
手術は、 通常、 全身麻酔下で行われ、 2時間程度の時間を要します。
手術後、 リハビリテーションを行い、股関節の可動域を回復させ、 筋力を強化します。
人工股関節置換術は、 成功すれば、 長期間にわたって痛みのない、
快適な生活を送ることが可能になります。ただし、 人工関節には寿命があり、 15年~20年程度で再手術が必要になることがあります。
変形性股関節症の予防とセルフケア
日常生活での注意点
変形性股関節症の予防とセルフケアには、日常生活での注意が欠かせません。
まず、股関節に過度な負担をかけないように、正しい姿勢を保つことが重要です。
猫背や前かがみの姿勢は、 股関節に負担をかけやすいため、
背筋を伸ばし、骨盤を立てるように意識しましょう。
重いものを持ち上げるときは、 膝を曲げて腰を落とし、
股関節に負担がかからないように注意しましょう。
また、長時間の立ち仕事や、 同じ姿勢での作業は避け、
適度に休憩を取り、 股関節を動かすようにしましょう。
椅子に座る際は、 深く腰掛け、背もたれに寄りかかり、
股関節への負担を軽減しましょう。 床に座る際は、 正座やあぐらを避け、 椅子に座るか、横になるようにしましょう。
和式のトイレは、 股関節に負担がかかるため、 できるだけ洋式のトイレを使用するようにしましょう。
また、 階段の上り下りは、手すりを利用し、 一段ずつゆっくりと昇り降りするようにしましょう。
これらの日常生活での注意を心がけることで、 股関節への負担を軽減し、変形性股関節症の進行を遅らせることが可能です。

適切な体重管理
体重管理は、変形性股関節症の予防とセルフケアにおいて非常に重要な要素です。
肥満は、股関節に大きな負担をかけ、軟骨の摩耗を促進する最大の要因の一つです。
体重が増加するほど、 股関節はより大きな力を支えなければならず、
軟骨への負担が増大し、 変形性股関節症のリスクが高まります。
適切な体重を維持するためには、 バランスの取れた食事と適度な運動が不可欠です。食
事においては、 高カロリーな食品や、 脂肪分の多い食品を避け、
野菜、果物、 全粒穀物、 良質なタンパク質などを積極的に摂取するようにしましょう。
また、間食を控え、 規則正しい食生活を心がけることが重要です。
運動においては、ウォーキング、 水泳、 サイクリングなど、
股関節に負担の少ない運動を選び、無理のない範囲で行うようにしましょう。
運動は、 体重管理だけでなく、 股関節周囲の筋肉を強化し、 関節の安定性を高める効果もあります。
適切な体重管理は、変形性股関節症の予防だけでなく、
高血圧、糖尿病、 脂質異常症などの生活習慣病の予防にもつながります。
定期的な運動
定期的な運動は、変形性股関節症の予防とセルフケアに非常に効果的です。
股関節周囲の筋肉を強化する運動は、 関節の安定性を高め、軟骨への負担を軽減する効果があります。
また、関節の柔軟性を高めるストレッチは、 可動域を広げ、
股関節の動きをスムーズにする効果があります。
具体的には、 ウォーキング、水泳、 サイクリングなどの有酸素運動や
スクワット、 レッグレイズ、ヒップリフトなどの筋力トレーニング、 股関節のストレッチなどがおすすめです。
運動を行う際は、 無理のない範囲で、 痛みを感じない程度に行うようにしましょう。
もし、痛みが出た場合は、 運動を中止し、 専門医に相談してください。
運動を行う頻度としては、 週に3回程度が目安です。 1回の運動時間は、
30分程度を目安にすると良いでしょう。 運動を行う際は、 事前にウォーミングアップを行い、
運動後にはクールダウンを行うようにしましょう。
運動は、変形性股関節症の予防だけでなく、 全身の健康維持にもつながります。
日常生活に運動を取り入れ、 健康的な生活を送りましょう。

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